両忘の時‐ある日、その時‐

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メッセージ

136.明らめるが、諦めない・・・

 何事についても、明らかにするまでは諦めることはないという程度の意味である。ただし、時間の捉え方次第で、その関りも当然変わってくる。人の一生など余りにも短いと言えば確かに短い、が、一方では、長過ぎると感じるのも実情であろう。「明らかにすべきもの」によっては、100年程度でも足りないものはいくらでもあるのである。だからといってそれを「諦める」か、あるいは「明らかにする」方向に向かうのかによっては、選び取る人生も自ずと変わってくる。実際に、諦める方が現実的で、明らめることは非現実的なことのように思われがちであるが、私はそうは思わない。100年かかっても解けぬものを解こうとする姿勢自体に人間としての価値、尊厳を唯一見出し得るのである。お手軽な安易な「答え」(結論)にしがみついて生きている人間たちはあまりも多く、その実情を数多く見過ぎてきたことも、「明らめること」自体に限りない意義を見出すことに影響しているのであろう。不充分で安易な結論に合わせようとするために至る所で「細胞」が「癌化」するのであるが、いったん突っ走り出すと、致命的な欠陥があってももはや戻れず、ただそれにすがって死に急ぐしかなくなるということである。結論ありきでは駄目なのである。それも安易な結論は身を亡ぼすということになる。

                                      2021 8/19